2009年11月2日月曜日

知らなかった。

ここ一年ぐらい、好きでよくネタを見ていたお笑いコンビのかたつむりが、今月で活動休止するらしい。家の都合ということらしく、それが解決したら、是非復活して欲しい。
彼らの笑いは悪ふざけというか、舞台が成立するかしないかのぎりぎりのところを突いてくる。お笑いの舞台は当然ながら笑いに来ている客に笑いを提供する。それはある意味ハードルは低いとも言えるし、笑おうとして構えているため、ハードルは高いとも言える。

その中で誰もが見なれたお笑いのステージは、決して見慣れたお笑いが展開しない。漫才がいつまでも始まらない。ボケの林がぐずって、漫才が全然始められない。ツッコミの中澤は、お客に謝りながら、林を何とか説得して、漫才を始めたい。会話はなんとかぎりぎりで成立している。駄々を捏ねるとはまさにそういう状態。概ね相手の言っていることはわかるけど、落としどころのない状態が、ずっと続く。
中澤の声を張った説得は、胡散臭さと本気っぽさが両立していて、理解しがたいボケの林が、茶番と真剣なボケの境界をぼかす。だんだん、本当に何を見せられているのかわからなくなる 笑
そこに真顔で林が「俺だって漫才やりたかったんだ」というとどめを刺す。

客と演者の共感のできなさが、舞台上で漫才を成立させ、舞台上では、意思の疎通が図れないまま(意思の疎通の探り合いこそが、漫才というか会話を成立させる前提でもある)、ただひたすらに漫才を渇望する2人。逆説的であるが故に、ボケとツッコミが、茶番の上でリアリティを持って上演され、ドライブしていく。そして、彼もまた客観視された遠いところから舞台を眺めて、舞台を、漫才を求めているのだ。

僕はかたつむりの活動休止ももしかしたら大いなる彼等の茶番なのではないかと期待している。そして、復活のときにはまた、あのサンパチマイクを探すのだ。


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