自分へのお年玉代わりというわけではないけれど、ちょうど手頃な値段で古本屋に河口龍夫作品集が出ていて早速注文。久しぶりにゆっくりと河口作品を堪能。
去年、近作を展示で見て、気持ちが揺さぶられていたのとは違う感動を初期から中期の作品に感じる。ある物質に残された意図的とも意図的でないとも言える夥しい痕跡の数々。例えとして正しいとは思わないが、はじめて原爆ドームに残された人の影を見たときの言葉に出来ない感覚に近い揺さぶり(決して同じ感覚ではない)が、そこにはある。
生々しい痕跡。暖かくもそこに存在していた何かという、根本的なこちらに訴えかける何か。
痕跡。
このキーワードについては考えたいことがたくさんある気がする。作品をつくるということ。宙に消えない何かが生まれるということ。作品(のようなものも含めて)をどのように呼ぶかは別にして必ず生じる痕跡。そのままにしておけば、時間の流れは痕跡を消し去ることもある。それを風化とも呼ぶ。風化すらも、風が時間の流れの中に爪あとを残し、其の前にあったもの別な形に変えるということだ。
果たして僕は痕跡とどう付き合っているかなどと答えも出さずに自問する。
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