2008年5月20日火曜日

思い出し日記:バンコクの街角、エラワンシュライン

先週のバンコクの話。

バンコクの中心部は、BTSというスカイトレインが走っていて、これがずっと上を走っている大通りをスクンビット通り(確か西側は名前が変わったと思う)という。バンコクは以前から、朝夕の渋滞が激しく、まさに待望のスカイトレインであった。スカイトレインが開通したのは、僕がはじめてバンコクに来た時よりも前であったから、それ以前のスクンビット通りを僕は知らない。多くの車、バイク、トゥクトゥクで、前になかなか進めず、クラクションけたたましい、そんな光景だったのだろうと思う。しかし、想像するに想像しているそれは、今の光景と大して変わらない。

この大通り、中心部に相応しく、サイアムという商業、業務の中心地を貫通する重要な通りで、周囲の建物はデパート、ホテルや銀行が立ち並んでいる。上部に高架がある感じからして、今の東京の六本木っぽい雰囲気とも言えるが、位置づけ的には銀座や丸の内という感じか。

このスクンビット通り沿い、2本のBTSがクロスする大きな交差点がある。それが、この写真。エラワンシュラインという、仏教の祈祷スペースというかオープンエアの寺(お坊さんがいないところを見ると、仏教モニュメント的体裁)である。
大きく街区の隅を切られた交差点の向かいに視線を向けると、僕らのよく知るルイヴィトンがデパートの角に鎮座している。ここは商業の中心地であり、と同時に宗教モニュメントも存在しているのだ。エラワンシュラインのあるこちら側は、人々が集う祈りの空間(ルイヴィトンも資本主義に祈りを捧げている人々が集まっていると思うが)になっている。そして、線香の煙はビルの照明を霞ませ、高架鉄道は上空を疾走する景色が展開している。
元来、東京と共通のアジア的な何かを内在させた都市として、僕はバンコクを意識している。違うことは知っている。でも、何か東京の延長上で出かけていける街なのだ。今回も、暑いは暑いけれど、東京で何か新しい発見をするようにバンコクを歩いていた僕はいきなりガツンとパンチをもらうことになった。

バンコクにパンチ食らった僕は線香の煙と、熱帯の熱の中に佇む。人々は花輪を祭壇にかけて、祈る。後方では、木琴と銅鑼、鐘が鳴り、歌と踊りが披露される。そこでも祈る人、それを裁く人、踊り、奏でる人。祈り終わった人、これから祈る人。祈る人に何かを売ろうとする人。僕と同じでそれを眺めているだけの人。
ヴィトンのウィンドウのガラスパタンのモアレに目が眩むより先に、線香の煙が、涙目の都市景観を僕に拝ませ、背中を汗が滴り落ちる。

0 件のコメント: