2008年6月11日水曜日

人か、化け物か、

先週末、会期の終わってしまう国宝薬師寺展を見に、東京国立博物館へ。

いろいろと前もって情報をチェックしてあったので、なかなか興味深く見ることができた。
特に情熱大陸で、専属の展示デザイナーの回なんかもあって、現金なもので、照明とかいつも以上にしっかり見てしまう。
そこで、気がついたことは、仏像の表情が見る角度によって、全然変化するということ。なんとなくわかっていたようなことだけど、改めて、これはすごいなと思った。
今回の展示の目玉、日光・月光両菩薩像は普段は見れない背面まで、360度見ることができ、菩薩像の正面は高台になっていて、下から見上げの視点だけでなく真正面から対峙することもできた。この表情が変化するというのはなぜ、起きるかというと顔にできる陰影を鑑賞者がそれぞれの角度から読み取って意味づけするから起きるんだと思った。わかりやすい例で言うと、普段からうつむくという顔、ないし頭部の角度に、元気がなさそうという意味づけをしてみているわけだけど、これは陰影と非常大きな関係にあるんだと思う。下を向いて顔の半分に影がほんのりとかかることで、人はああうつむいている(うつむいている表情になっている)なと判断するのかもしれない。

あと、驚いたのは、両菩薩の説明であるように、その美術的技術の高さ、写実的な表現、肉質感などが謳われているけれど、その足のなんとものっぺりとしていて、ごつい、像とのバランスで見ても異様にでかいように感じた。仏の足は仏教教義の中でも意味のある部位。
もちろんあれだけ巨大鋳造の立像なので、立たせるバランスは大事なので、台座と身体を支える足が若干ごつくなるものかもしれない。けれど、人間離れしているあの足!!
なんとも、あの足を見たときに、身体上部の瑞々しさに魅了されていた状態から、菩薩様は人間じゃないんだという戦慄を覚えた。しばらくは、足に注目していろんな立像を見て回りたくなった。ダビデ像の足とかどうなっていただろうか。

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