大谷能生『貧しい音楽』読了。
非常にラフにいうと、
聴くということの意味が複製可能なレコードの登場によって、大きく変わってしまった。音楽が生まれる場所ということの意味、音楽が創られる場所という意味もまた大きく変質したということはこれまでも指摘されてきたようにも思う。しかし、ライブやコンサートといった類が依然その儀式性を保って残っていること以上に、圧倒的にレコードの登場は音楽を聴くという意味を変えてしまった。
音楽批評として論が立脚していることはいうまでもなく、文明批評、芸術・技術史論としてもとても読み応えがある内容だった。
聴くという行為にべったりとついている時間という概念をどのように認識するか、この聴くという観点から演奏するという行為にべったりとついている時間という概念とどのように対峙するか。複製される時間と今をもう一度考えるきっかけでもあったりする。
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